お気楽☆建築士の住宅問答 blog

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10平方メートル以内の増築を繰り返すとどうなるのか

10平方メートル以内の増築を繰り返し行っても建築確認申請は不要ですか。

この問いは、駆け出しの建築士の間ではよく話題に上る話です。判断としては二通りあります。

ひとつの解釈は「10平方メートル以内の増築を繰り返し行い前回の確認申請の面積から10平方メートル以上大きくなった場合は建築確認申請が必要。」という解釈です。この場合前回に8平方メートルの増築を行うと次は2平方メートル以上の増築を行う場合は確認申請が必要になるという考え方です。

もうひとつの解釈は「増築を繰り返し行っても各々が10平方メートル以内であれば建築確認申請は不要。」です。

実務的には「面積にこだわらず状況に応じて役所にお伺いを立てる。」が正解なのですが、敢えて法解釈をするなら後者の「増築を繰り返し行っても各々が10平方メートル以内であれば建築確認申請は不要。」が正解と言うのが建築士業界の主流の考えです。

10平方メートルうんぬんの話は建築基準法第六条第2項の話なのですが、そこでは「前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。」となっています。

ちなみにこの2項で言う「前項の規定」とは、建築基準法第六条第1項になります。そこでは「建築主は、・・・・建築物を建築しようとする場合・・・・当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定・・・・に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。」となっています。

勘違いしてはいけないのは【 建築確認申請の不要な増築とは 】のエントリーでも言いましたが10平方メートル以内の増築では確認申請書の書類を提出しなくても良いだけであって増築自体の内容や増築後の結果は原則、建築基準関係規定に適合していなければなりません。

つまり増築を繰り返し行った場合でも毎回、施主の責任において建築基準法に適合した工事が行われているわけですから増築を繰り返し行っても各々が10平方メートル以内であれば建築確認申請は不要となる訳です。ただし実際は施主自身が建築基準法の適合性のチェックは出来ませんから、建築士等が代理にチェックし記名捺印した図面などの資料を作成するのが理想です。

また、将来、建築確認申請の必要な増築を行う事となった場合には既存部分の現行法への適法性を証明する必要が出てきますが、この場合は過去に繰り返し行った10平方メートル未満の増築全ての適法性を証明する資料(特に構造関係の資料)が残ってないと建築確認申請が許可されなくなる場合も予測されますので注意が必要です。

ちなみに建築確認申請が必要な増築工事であれば工事後の検査済証1枚あれば適法性の証明が出来ますのでとても楽です。たとえ検査済証を無くしても役所の台帳に記載されていますので安心です。


「10平方メートル以内の増築を繰り返し行っても建築確認申請は不要ですか。」

「不要と考えられますが、建築確認申請の必要な工事が発生した時点で過去に増築した部分の全てについて建築基準関係規定への適法性の証明が必要になる場合があります。」

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