お気楽☆建築士の住宅問答 blog

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建築確認申請の不要な増築とは

住宅のリフォームと同時に建物を増築しますが施工業者さんに確認申請は不要と言われました。そんな事があるの?

防火地域及び準防火地域の指定の無い敷地で行うの10平方メートル以内の増築については確認申請は必要ありません。ただし、建築確認申請の書類提出が不要というだけであって増築後の建物は建築基準法の規定に適合させる事が必要です。

10平方メートル以内と言うとおおよそ91cmグリッドで計画した場合の押入れの無い6帖間(2.73m×3.64m=9.93平方メートル)程度の大きさです。
床を外して吹抜けにする場合などは減築となりますがこのような部分は無視して増築部分の面積のみで判断します。また、増築面積は建築面積ではなく床面積ですので1階、2階共に増築する場合は合計の面積が増築面積となります。

上記の条件に合った場合は手続きとしては建築確認申請書の提出が不要であっても増築部分・既存部分を含めて建物全体が現行の基準法に適合しなければ違法な増築となる場合があります。

例えば、増築後に建ペイ率や容積率がオーバーする様な増築は違法な増築になります。また、既存の建物に接して増築を行う場合、増築部分と構造上一体の既存部分を含めて現行基準の耐震性能を確保しなければなりません。つまり増築工事と同時に建物全体の耐震補強工事が必要な場合があります。さらにシックハウス対策の換気計画や火災報知器の設置なども行う必要があります。

とは言っても、1階にトイレを1帖増築とか、お風呂を1坪増築といった場合などは確認が不要な増築の場合が多く、これを理由に建物全体の耐震補強を実施すると言うのは費用が掛かり過ぎになる為に現実的な話ではありません。

この場合、既存部分の工事を行わない事が多いのですが、後々建築確認の必要な増築等を行う場合などには既存部分とそれまでの増築部分を含めた耐震性能を問われる場合がありますので、増築工事の際には増築部分の構造に関する図面や写真資料等を残しておくと良いでしょう。

私共の様な設計事務所が増築の計画を建てる場合は、確認申請の要不要に関わらずこれらの基準法に対する適合性をチェックしながら計画を行いますが、施工業者さんの場合では「確認不要」=「役所のチェックが無いから既存検討不要・法規の無視可能」と考えておられる方が多いようです。

さらに、10平方メートル未満でも2階に増築する場合や既存部分の間仕切りを取り外したり、位置を変えたりする場合は、基準法上の特に構造に関しての適合性のチェックは不可欠です。リフォームによって建物の耐震性能が著しく低下するのはこのような増築・リフォームの場合が多くこのような時は設計事務所などに建物の耐震性について相談する事をお勧めします。


「住宅のリフォームと同時に建物を増築しますが施工業者さんに確認申請は不要と言われました。そんな事があるの?」

「建築確認の要・不要に関わらず既存部分・増築部分共に現行建築基準法の基準に適合する必要があります。特に構造に無理がかかる様な増築の場合は構造の安全性の検討が不可欠です。」

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【外部リンク】 建築基準法の話