お気楽☆建築士の住宅問答 blog

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震度8の大地震って・・・

耐震補強工事なんかしたって震度8の地震とか来たら建物もたないんだろ?

この話、耐震補強の説明をしている時によく言われます。そもそも「震度8」という表現は今のところ震度階には無いのですが、少し言葉が独り歩きしたようなちょっと意地悪な質問です。確かに仮に震度8程度の揺れの地震が本当に発生したとしたら十分耐震補強を行ったとしても建物はあっさり倒壊するかもしれません。

でも、実際は震度8程度の揺れの地震を心配する必要はありません。「震度8」という震度階が定められていないのにはそれなりの理由があるからです。

一般的な地震のメカニズム(断層型とかプレート型とか)では震度8程度の揺れを引き起こす規模の地震には物理的な無理があって、多くの専門家が震度8の地震を否定しています。

地震の震度は震源に近いほど、また地震のエネルギーを表すマグニチュードの数字が大きいほど震度も大きくなる傾向がありますが、震度8(=計測震度7.5以上)の揺れを発生させる為のエネルギーは震度7クラスに比べ比べ物にならないほど大きくなるはずで、実際は断層やプレートがそんな大きなエネルギーを貯め込むことが出来ずに震度7以下の地震で細かく放出してしまうからです。

「耐震補強工事なんかしたって震度8の地震とか来たら建物もたないんだろ?」
「う〜ん、そりゃまあそうだけど・・・君はあと30年以内に90%の発生確率の地震はあまり気にならずに、SF映画的な天変地異は気になるんだね。スケールの大きい人物と言えるかもねw」

追記:震度やマグニチュードについては気象庁のホームページなんかで詳しく解説されています。ちなみに、実際の気象庁の定めた震度階には「震度8」という表現は有りません。

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