お気楽☆建築士の住宅問答 blog

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4寸角柱の隅柱と通し柱の話

隅柱が4寸角の柱なのに土台や他の柱が3.5寸角なのですが大丈夫でしょうか?

木造住宅で使う柱の寸法は建築基準法建築基準法施行令)に過去の経験を元にした寸法が規定されています。一般的な間取りの木造2階建ての住宅の場合では土台天端から梁下までの高さの28分の1(高さ2850mmとすると102mm<3.5寸(105mm))を最小としています。この数値は土蔵造りの建物など重量の大きい建物ではもっと太く、また軽い建物や最上階などは細く出来ます。

なお、基準は隅柱もその他の柱も同様です。また、この計算で求めた断面積の3分の1以上を欠き取る場合は補強をしなければなりません。さらに、隅柱は通し柱とするか、1、2階柱をホールダウン金物等で接合した管柱などの補強したものにしなければなりません。

ここで話を整理して隅柱に話を戻します。

出隅の通し柱になる柱を上から見下ろしてみると出隅の柱は建物の中にある柱に比べて支えている床や屋根の面積が4分の1である事が解ります。実は出隅の柱は建物の重量負担が1番少なくなりやすい柱であり、この為、この出隅の柱に耐力壁が取り付く場合に地震時の耐力壁の回転による柱の浮き上がりを建物重量で押さえ込む効果が期待できない事から基礎引きのホールダウン金物が必要になりやすい部位となっています。

つまり、出隅の通し柱を4寸角にする理由は建物の重量を支える必要があるからではありません。ではなぜ4寸なのかと言うと「断面積の3分の1以上を欠き取る場合」に該当する可能性があるからが答えになります。

出隅の通し柱の2階床部分には少なくとも2方向からくる梁を受ける為のホゾ穴をあける必要がありますがこれが断面欠損となり補強が必要となります。3.5寸柱と同じ断面積を確保するために4寸柱にして断面積を稼ぎ補強します。
補強は2階床部分だけでいいのですが、柱の太さを途中で変えるのは手間が掛かるだけなので全長を4寸の柱としています。

つまり4寸角の通し柱は見た目は4寸でも実際の構造上の扱いは有効3.5寸を補強した扱いにすぎません。ですから3.5寸の土台から4寸柱がこぼれていても3.5寸の断面では土台に乗っていますのでなんら問題は無いわけです。

ところで、通し柱以外の柱も4寸角とする場合はどうかと言うと、木材は繊維方向に対して横から押し潰す様な力に弱い為、土台も4寸として広い面積で柱を受ける方が構造的には合理的です。


「隅柱が4寸角の柱なのに土台や他の柱が3.5寸角なのですが大丈夫でしょうか?」

「隅柱は4寸角に見える有効断面が3.5寸角の柱だよ。建物の重量負担の大きな柱とは建物の中心付近の「田」の字の真ん中の位置にくる柱だからこんな柱があれば太くすると丈夫な家になるよ。」

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