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お気楽☆建築士の住宅問答 blog

家創りからリフォーム・リノベーション、維持監理、生活の工夫まで気ままに書き連ねた建築設計士のブログ

ドアの下の隙間について色々と語ってみました

ドアの下の隙間が1.5cmも開いて光や音・隙間風がもれますが正しい施工なのですか。

普段の設計では既製品の内装建具は使うことはあまり無く、基本額縁は大工さんが造って建具は建具屋さんで造ってもらっています。

その方が建具のコスト調整やデザインの自由度が高くなり、結局割安になると考えているからですが、そんなこんなで既製品の内装建具の最近の常識には少々疎くなっていた様です。

「ドアの下の隙間が1.5cmも開いて光や音がもれます隙間風も有ってこれが正しい施工なのでしょうか。」と聞かれ「そりゃ、アンダーカットにしても大きすぎで駄目だろう。」との答えが頭に浮かんだのですが一応ネットで調べてみると「25mmでも正常な施工」、「隙間は最低10mm無いと閉まらない」、「カーペットとか考えたら10mm以上ほしい」、「30mmもざらにある」、「通気口なんだから大きい方が良いですよね」などなど・・・・・

はっきりいって

「ええ!!!!!!????????????????」

てな感じです。とても浦島太郎な気分です。

う~ん、とにかく順を追って建具の下の隙間の話をしてみます。

さて、ドアの開閉に必要なドア下の隙間は高さ3mm程度の踏摺や敷居がある場合は概ね5~7mmです。バリアフリーで建具の下の床仕上げもフローリングの場合でしたら7~10mm程度でしょうか。これこれだけあればドアが動作するのに十分な空気の移動が行われます。

ドア下の隙間の話がやたら話題に上る様になったのはシックハウスの規定が定められた頃からだと思います。それまでは隙間が少ないほど良いと言う人が普通に多かった様に思います。ですが、シックハウスの規定が適用されないドアに必要なドア下の隙間は今も昔も5mmで十分です。

さて、シックハウスの規定が適用されるドアはどんなドアかと言うとそれは換気経路上のドアになります。
例えば、リビングの吸気口から外気を取込み廊下を経由して便所の換気扇で外気に放出する経路の場合、リビング-廊下、廊下-便所の仕切りがドアの場合はドアに通気を確保する必要があります。しかしこの場合、リビングの換気扇を給排気同時型の物にしたり、リビングに換気扇を設置しての対角の位置に自然給気口を設置すると廊下と便所は換気経路から外れますので、便所やリビングの戸は通気経路としてのアンダーカットは不要となります。(そもそも廊下や便所は居室ではないのでシックハウス換気=24時間換気は法律上不要です。)

便所に関しては臭気の関係で換気扇を設置しますので吸気口が必要ですが、ドア下の隙間である必要は無く、扉のガラリや壁に設置した室内通気口、当然外気を取り入れる自然吸気口などを用意すればドア下に過剰な隙間を用意する必要はありません。

防音や隙間風などに対しての対応を優先して考える必要があればドアの隙間は最小として通気に関しては設計でいくらでも対処する方法があります。

ではこのドア下の隙間寸法はいつ決まるのかと言うと、「建築確認申請の前」になります、これは建築確認申請に換気計画を添付する必要がありこの時に換気ゾーンや経路を決定しておく必要があるからです。

シックハウス対策のマニュアルでは「換気経路となるこの扉には有効開口面積で100~150cm2の開口が必要とされます。通常の開き戸には扉の周囲に隙間があるので、高さ1cm程度のアンダーカットやガラリを設けることによって必要な通気の確保ができます。」となっています。これは部屋の容積に関わらずこの寸法があればよいので概ねドア下の隙間は大きくとも1cmが適正でそれ以上とする理由は有りません。ですので、換気に必要だからと言う理由では30mmは必要は無いでしょうし、それだけ必要なら室内通気口をドア上の壁にでも設ける方が良いに決まっています。(アンダーカットはそもそも通気口を設けるのが住宅ではたいそうだからドア下アンダーカットでも良いよという緩和措置ですね。)

ところで建具屋さんで建具を造る場合と既成品の建具の違いは何かと言いますと、建具屋さんは「開口の大きさに合わせて建具を造ります。」それに対して既製品は「建具の大きさにあわせて開口を造ります。」という事です。ちなみに既製品の場合は大工さんが建具の取り付けもします。

建具屋さんで内装建具を造る場合は「このドアとこのドアは下1cmで、他は最小寸法で」と発注すれば終わりなのですが既製品の内装建具ではそうも行きません。既成品の建具では仕様を整理する為に、バリアフリーで建具の下もフローリング場合の10mm程度を標準としている場合が多くなっている様です。つまりアンダーカットされた状態を標準としている訳です。

ちなみにドア下が20mm程度あいている場合はドア枠の設置時に敷居仕様分の12mm分の枠材をカットし忘れていたケースが多い様です。標準の7mm~10mmにカット忘れ分が加わり19mm~22mmのドア下寸法になってしまいます。

アンダーカット無しを標準にしても良さそうなものですが、既成品の建具は大工さんが取り付けます。大工さんは建具の専門家ではありませんからメーカーとしても工事サイドとしても逃げ(余裕)の寸法は多いに越したことが無いのでしょう。

ちなみに建具屋さんは開口寸法にあわせて造った建具を現場に合わせて建具を削ったりして再加工しながら建具を取り付けて行きますが、大工さんは製品をビスで固定して調整ネジで位置を調節する以上の事はさすがに出来ません。

ところで「一分のくるいも無い」(一分と言うのは3mm)などという様に大工さんが扱う寸法は案外大きな寸法です。建具屋さんに比るとやはり大雑把な所がありますが、扱う材料から道具まで違うのですから当たり前です。

さらに既製品は「建具の大きさにあわせて開口を造る」ので事前に床の収まり等を頭に入れた上で寸法を計算して額縁(=開口)を取り付けるのですがその際の縦方向の施工の誤差はドア下の隙間寸法に集まってしまいます。5mmの誤差が出るとドア下の隙間が5mmになったり15mmになったりしますから大変です。15mmなら動作には問題は無いのでしょうが5mm以下では大工さんのでは調整出来ずにドア下が床を摺る可能性も有ります。

建具屋さんはたとえ大工さんが額縁(=開口)寸法を間違ってもそれに合わせて調整して建具を造りますので仕上がりに問題は出ません。建具下5mmでお願いすれば5mmで仕上げてくださいます。

どうですか、建具屋さんで建具を造ってみませんか。

「ドアの下の隙間が1.5cmも開いて光や音・隙間風がもれますが正しい施工なのですか。」