お気楽☆建築士の住宅問答 blog

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結露防止の補助暖房にパネルヒーターを使ってみる

窓の結露がひどくて困っています。簡単な対策は有りますか。

結露の気になるシーズンとなりました。今回は結露防止に役立つ補助暖房の使い方の話です。

いまさら結露の説明もなんですが、夏の冷えた飲物を入れたコップに付く水滴が結露です。冷えたコップが水分を十分含んだ空気を冷やし水滴が現れる訳ですね。結露の原因は冷えた物体と湿気を十分含んだ暖かい空気ですのでこれらのいずれかを取り除く事で結露を防止する事ができます。

以前の冬、結露がひどく対策して欲しいという依頼が有りました。お宅におうかがいしてみますと掃出し窓の足元が水浸しで木枠が変色しています。窓も大量の水滴だらけです。

「普通の結露の域を超越してるなあ」と思いながら部屋の中心に目をやると瞬間に原因が理解できました。このお部屋、南に大きな掃き出し窓、北に腰窓があり、部屋の中心に学校に有る様な石油ストーブが有りその上にはお湯の入った鍋が置いてありました。

まず、湿気の供給元は石油ストーブとお湯を張った鍋ですね。灯油は燃焼しますと水蒸気が発生しますし、当然鍋からも水蒸気が大量に発生、大量の水蒸気を含んだ暖かい空気は部屋の中心から天井に昇り、天井に沿って窓側へと移動します。大量の水蒸気を含んだ空気は窓の近くまで来ると窓に冷やされ水蒸気を放出し大量の結露を発生させて窓を水滴だらけにします。そして冷やされて乾燥した空気は床まで降りた後に床に沿って部屋の中央に向かって流れ、また、ストーブから水蒸気の供給を受けて天井へと登ります。

つまり、この部屋はストーブや鍋の水分を効率よく窓に供給する装置になっていた訳ですね。また、窓から熱がどんどん奪われる上に足元を冷たい風が流れる事になりより寒く感じる事になりますのでストーブを過剰に運転していたのも原因の1つです。

さて対策ですが、まず部屋の中心にあったストーブを南の掃き出し窓側に移し窓の前に置きます。こうする事で窓で冷やされた空気を暖め、部屋の空気の流れを以前とは逆にして湿った暖かい空気が次々と冷たい窓に供給される状況を改善します。北側の腰窓の下にも電気式のパネルヒーターを補助暖房として設置して、窓からの冷気が床にそって流れない様にします。

あと当然ですが、鍋はやめて加湿器を使って頂きました。加湿器なら過剰に水蒸気を出さずに済みます。

ちなみに電気パネルヒーターは中にオイルが入っていて60度〜70程度に電気で常に暖められています。輻射熱で付近の床や壁を暖め周りの空気を穏やかに暖めます。価格は4000円程度から、電気代は1時間3.5円程度ですが断熱性の確保されたトイレや洗面室であれば連続運転で十分暖房可能な性能はあります。パネルに手が触れた程度では火傷もしませんから安全性も高く補助暖房としてはお勧めですね。

これらの暖房器具の対策でかなりの結露が改善されました。さらに対策を進めるとなるとアルミサッシのガラスをペアガラスにしたりアルミ額縁が断熱された製品に取り替える、二重窓にするなど窓が冷たく成りすぎない様に対策をする事になりますが、それはもうしばらく様子見をしてから検討するという事で落ち着きました。


「窓の結露がひどくて困っています。簡単な対策は有りますか。」

「まずは、暖房器具の工夫で対策してみてはいかがでしょうか。暖房器具対策で解決しない場合は建築工事も視野にいれて考えても良いかも知れません。」

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