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坪単価、この建物は割高?それとも割安?

新築住宅の値段なんだけど、A社さんは40万円/坪、B社さんは42万円/坪といった坪単価。いったいどちらが得なんだろうか?

新築住宅の予算を検討するとき、まず最初に話題に上る事といえば「坪単価」の話でしょうか。坪単価について簡単に説明しますと「建物の建築費用を面積(坪=約3.3平米=畳2枚分)で割った物」となります。

一見、建物の割安・割高を的確に表してくれそうな雰囲気を漂わせている「坪単価」ですが実のところ結構いい加減で坪単価で使う建物の価格についても、またそれを割る建物の面積についてもこれといった業界共通のルールが無くそれぞれの会社ごと自分勝手にルールを決めているのが現状です。

例えば住宅などでは大きく3通りの面積の算定方法があってそれぞれ微妙に面積が異なってくるので厄介です。「施工床面積」、「法床面積」、「登記の床面積」がその3通りの面積ですが、「施工床面積」が最も広く「登記の床面積」が狭くなるのが一般的です。

まず「施工床面積」ですが、これはもう工事範囲すべての床面積の合算といった感じで「玄関ポーチ」も「バルコニー」も場合によっては床の無い「吹き抜け」までも面積に繰り入れ合計します。この算定方法に法律などのルールはないので自分でルールを決めて面積を求めています。
「法床面積」は建築基準法のルールにしたがって算定した面積で建築確認申請などで利用します。「玄関ポーチ」や「バルコニー」はルールに従い面積から除外される事が多く、床の無い「吹き抜け」も面積には含まれません。
「登記の床面積」は建物の登記に関する法律のルールで建物の面積を算定したものです。「法床面積」とほぼ同じなのですが吹き抜けの中に設置する階段は面積に含めない場合が有るなど本当にヤヤコシかったりします。

面積についてはこんな感じですが、建物の価格についてはさらにヤヤコシくて、いったいどこまでの工事が建築価格に含まれていて、何が含まれていないのかが会社によって自由気ままに決められて、さらに自由気ままな面積でそれを割っちゃいますからもう手に負えません。例えば同じ建物の価格を「施工床面積」で割った場合と「法床面積」で割った場合とでは同じ建物であっても坪単価は変わってしまいます。私たち建築の専門家であっても坪単価の比較などそう簡単に出来るものでは無かったりするのです。


「新築住宅の値段なんだけど、A社さんは40万円/坪、B社さんは42万円/坪といった坪単価。いったいどちらが得なんだろうか?」
「坪単価を比較するには分子と分母の条件を可能な限り同じにそろえなきゃいけないよ。ただ少しばかり専門知識が必要になるかもしれないね。」

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